食料安全保障の視点で考える投資先①多木化学(4025)

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この記事はあくまで筆者の個人的な意見であり、学んだことのアウトプットの場としてがメインで、投資をすすめるものではありません。投資は必ずリスクを伴いますので、最終判断はご自身でお願いします。
記事の内容によって損害が生じても、筆者は責任を負いかねますのでご了承ください。

年金がマジで期待できない中、老後2000万円問題と向き合う為、今のうちから少しでも資産を増やしておくべく、株式投資をしています。

護国太郎

輸出入関連の仕事してますが、食料自給率が低い日本を本気で心配しています。他の国に買い負けして、輸入できる食料が徐々に少なくなる、または低品質なものになっています。

脳死で米国株メインのインデックスファンドに全突っ込みするよりも、いくばくは個別株で高めのリターンを狙いつつ、同時に日本経済の復興につながればいいなと。

NISAで日本のお金が世界に流れていくの、ちょっと悔しいんですよね。

もちろん、積立NISAでコツコツと世界経済の成長に乗り、老後に切り崩していく時は日本に還元されると考えれば悪くは無いのですが、、

ただ、その間、日本の企業にお金が流れないような状況ってどうなんだろう、、と思う。

護国太郎

外国人観光客を見てると、金持ってるよなぁと、、

だから、外国に金を渡すよりも、日本の中でお金を回るようにしたら、巡り巡って自分の懐も温かくならんもかなと。

ということで、日本の個別株にも投資して、コツコツ資産を増やしていこうと目論見中。

投資に関しては、いろんなスタイルがあるけど、私はチャートに針打ついて売買するデイトレードよりも、中長期目線のバリュー投資が好き。

バリュー投資?

バリュー投資とは、企業の本来の価値よりも株価が割安に放置されている銘柄を探し、長期的に保有して利益を得る投資手法です。

たまたま、書店で目にしたこちらの本。

著:酒井富士子, 著:投資家バー STOCK PICKERS
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様々な投資スタイル、投資先で成功されている方の事例や考え方が垣間見れて面白かったのと同時に、やっぱり自分にはバリュー投資が向いてそうだなと再確認できました。

投資スタイルの幅を広げたり、どんな手法で成功している人たちがいるのか興味がある人はぜひ参考に。

護国太郎

会社でのトイレ休憩3分間で勝負して結果を出し続けている人がいて真似してみようと思ったけど、一回で「自分には向かないと再確認笑」

目次

多木化学(4025)に投資を検討した理由

食料自給率を上げるためには農作物の生産効率を高める必要があります。

その一つが、肥料。

ただ、肥料といえども化学肥料は全て輸入しています。

化学肥料の原料は

  • アンモニア
  • リン鉱石
  • カリ鉱石

ですが、これら日本で手に入りません。

そのため、輸入に頼らざるを得ない状況です。

なので、化学肥料を用いて食料自給率を上げることは、根本的な問題解決とはいかないと考えます。

肥料に頼らない「自然栽培」とかも聞きますが、生産効率を考えると非現実的かなと。

となると有機肥料やバイオスティミュラントを活用した方法が、今の日本にとっての最適解なのかなと考えます。

有機肥料?

動植物由来、魚かすや堆肥など。国内で広く生産されている

バイオスティミュラント?

植物の栄養吸収・成長・ストレス耐性を高める資材。植物が持つ本来の力を「刺激」して、乾燥や高温、低温への耐性を高めたり、光合成能力の強化や養分吸収を高める方法。

人間で言う高山トレーニングとか、怪我しにくいように行う日頃のストレッチみたいなものかなと。

で、その辺を考慮した上で、化学肥料の依存度が低い肥料メーカーをChatGPTに聞いて出てきた企業の一つが多木化学さん。

これをきっかけに知った企業さんなので、情報収集開始。

そもそも、国は「米増産!」に舵を切ったとのことで、稲用の有機肥料とかやってないかなぁ〜とも思ったり。

企業サイト(IR情報含む)、四季報、ヤフー株価掲示板、求人関連の口コミなど

企業のIR情報を見ると早速動画こんなことを、、

「農業が栄れば国力が高まる」

「農業発展には必ず人造肥料が必要になる」

By 創業者 多木久米次郎

ということで、事業内容や業績を見ていきます。

個人的にまず先に見る指標は

  • 時価総額
  • 現在の株価
  • 売上高の推移
  • 営業利益率の推移
  • 各キャッシュフロー
  • PER
  • PBR
  • ROE

この8項目をさっと見て決算書とかを見てくかを判断します。

この辺を見る理由は先に挙げた書籍と、こちらの書籍に書かれていた事を実践している感じです。

著:清原達郎
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で、この記事執筆時点でのこれらの値は

項目
時価総額(億円)323.0
株価(円)3415.0
PER(予想, 倍)9.65
PBR(実績, 倍)0.74
ROE(実績, %)6.4
項目FY2024FY2023FY2022FY2021
売上高(億円)389.2348.5358.5328.1
営業利益率(%)6.92.67.78.1
営業キャッシュフロー(億円)43.416.214.428.2
投資キャッシュフロー(億円)‑16.1‑16.4‑10.8‑23.2
財務キャッシュフロー(億円)‑3.5‑11.7‑5.4‑5.0

という状況。

PERも加熱してない感じ、時価総額も500億未満、そして営業利益もプラスで営業キャッシュローもプラス。

という事で、なんか良さげな感じがするので、事業内容や決算書をチェック。

多木化学の事業内容

多木化学さんの事業は

  • アグリ事業:化学肥料のパイオニアとして〜
    ↑化学肥料でしたか、、
  • 化学品事業:工業に、暮らしに、環境に〜
    ↑ちょっと抽象的なので、深掘りしよ
  • 不動産事業:地域の活性化を目指して〜
    ↑どんな物件持ってるのだろう

の3本柱とそのほかちょこちょこ。

各事業の数字を見ていく前に、全体に占めるそれぞれの売り上げ比率を直近3年の分を確認するとこんな感じ
(気になった部分をマーカーで)

2024年

セグメント売上高 (百万円)部門利益 (百万円)売上比率(%)利益比率(%)
アグリ10,77923027.166.73
化学品18,3902,08646.3461.08
建材3,702549.331.58
石油2,079135.240.38
不動産1,4187363.5721.55
運輸3,3152968.368.67
合計39,6833,415100.0100.0

2023年

セグメント売上高 (百万円)部門利益 (百万円)売上比率(%)利益比率(%)
アグリ9,989-42328.05-24.32
化学品15,8041,47544.3984.82
建材3,215-3159.03-18.11
石油2,076165.830.92
不動産1,4327214.0241.46
運輸3,0902658.6915.24
合計35,6061,739100.0100.0

2022年

セグメント売上高部門利益売上比率(%)利益比率(%)
アグリ11,5211,42631.4331.69
化学品15,0782,15641.1347.91
建材3,115-1558.50-3.44
石油2,351186.410.40
不動産1,4117493.8516.64
運輸3,1803068.676.80
合計36,6564,500100100

前売り上げに対してアグリ事業は3割、化学品が4〜5割って感じですね。

不動産が売り上げに対して利益の貢献度が高いのが印象。

2022年はアグリの売り上げ比率、利益比率ともに高かったのに2023年からはそうでもないです。

運輸と不動産が何気に利益に貢献している印象です。

各事業の詳細が気になります。

2023年にアグリ事業は営業損益となってました。軽く調べると、買い控えにより〜とのことだったので、固定費が高く薄利多売的な事業なのかな。

多木化学のアグリ事業

自社で肥料の製造、販売、農業資材などを販売。化学肥料のパイオニア〜とのことですが、もうちょい深掘りしてみます。

国は令和6年に「食料・農業・農村基本法」を改正し、次の4つの基本理念があります。

1:食料の安定供給

  • 国民に必要な食料を安定的に供給
  • 食料自給率の向上

2:多面的機能の発揮

  • 農業は食料生産に加え、水源涵養、国土保全、景観形成、文化継承などの役割(多面的機能)を持つと明記。

3:農業の持続的な発展

  • 農業を担う人材の育成・確保
  • 経営の安定と効率化
  • 技術革新の推進

4:農村の振興

  • 農村地域の生活環境整備
  • 地域社会の活性化
  • 都市と農村の共生交流

1番目の「食料自給率の向上」において、肥料の役割は欠かせないはず。

とはいえ、国は「みどりの食料システム戦略」に基づいて、化学肥料の使用料削減を目指しています。

ってことは、有機肥料にシフトをしていく流れになるってことかな?

ちなみに、2025年夏の参院選で議席を伸ばした参政党、2024年の秋の衆院選で議席を伸ばした国民民主の農業政策を見てみた中で、いくつか抜粋

  • 転作補助金などの実質減反政策から、米の増産・輸出奨励に転換し、生産量を上昇させる。
  • ほぼ全量輸入の化学肥料原料は順次有機に切り替え、2050年自給率を25%に。
  • 有機栽培(自然栽培)面積の目標達成を15年前倒し(2035年25%達成)
  • 土壌微生物の力を利用した自然農法やBLOF農法※などの拡大

参政党の農業政策

参政党は有機と自然栽培推しです。「国防」という事を考えると、化学肥料の使用を前提とした食料自給率の向上は意味をなさないというのが伝わってきます。個人的には同意します。現実的かどうかは、有機市場が伸びている海外から学ぶことができるかなとも思うので、その辺について今後調べて別記事にしてみようと思います。

次に国民民主党の農業政策をチェック。

国への提言の中にこんな言葉がありました。

国家の最大の責務の一つは「食料の安定供給」であり、かつてフランスのド・ゴール
大統領が発した「食料の自給できない国は真の独立国ではない」との言葉は至言であ
る。国民民主党も「自分の国は自分で守る」ことを柱に掲げている。

できるだけ水田を維持した上で稲作を中心とした水田利用を推進し、米のさらなる多用途利用の拡大
を支援するとともに、水田としての機能を維持すべき水田の目標面積を国が責任を持
って示すべきである。

米の需給調整を国の責任で行うことや、食料自給率の具体的な目標数値(我が党の
考えでは50%)

国民民主党の農業政策

護国太郎

この2つの政党が勢いあるし、現与党も彼らの主張を取り入れていくだろうと見込んでいます

多木化学は稲作用の肥料をどれくらい用意しているのかな?

ということで、多木化学さんの製品紹介ページを見てみたのですが、38個中水稲「専用」の肥料は2つでした。

24個は水稲に「も」対応しているというタイプで、畑作や野菜にも使える汎用タイプでした。

ただ、HPだけからでは具体的な部分、つまり

・どの商品が原料すべてを国内から調達しているか
・各商品の売上高の割合

は見つけることができませんでした。

有価証券報告書からも、自分は探しきれませんでした。

ちなみに、そこには

令和6年改正の「食料・農業・農村基本 法」による「食料安全保障」と「環境と調和のとれた食料システムの確立」の基本理念のもと、2050年に向けた 「みどりの食料システム戦略」に基づく化成肥料の使用量削減や国内未利用資源の活用などがさらに推し進めら れ、アグリ事業を取り巻く環境は重要な転換期

多木化学:令和6年有価証券報告書

↑と述べているので、化成肥料の使用削減目標に対して、どう対応していくのかが知りたいところ。

この辺はわかれば追記します。

多木化学の化学品事業

売上、利益ともにこの事業が多木化学さんの半分近くを占めている。

で、次の4つが商品のメインカテゴリっぽい

  • 水処理薬剤
  • 環境関連資材
  • 機能性化学品材料
    • 機能性ナノ材料

水処理薬剤

これは「汚い水」→「用途別に使える水」にしてくれる商品で4つの分類がある。

スクロールできます
分類利用目的具体的な課題解決購入者と目的
(A) 水質浄化・安全性確保上水道処理PAC(ポリ塩化アルミニウム)で濁りや雑菌を除去し、安全な飲料水🔹 誰が買う?
自治体(水道局・下水処理場)

🔹 どんな目的で?
飲料水や環境用水の安全確保
下水処理凝集剤や消泡剤で効率的に処理し、放流水の環境基準を満たす🔹 誰が買う?
自治体(水道局・下水処理場)

🔹 どんな目的で?
排水規制(環境基準)への適合
(B) 工場排水の処理・環境規制対応SS(浮遊物質)の除去製紙・食品工場などで発生する懸濁物を沈殿させる🔹 誰が買う?
製紙、食品、鉄鋼、化学、染色工場

🔹 どんな目的で?
排水規制(環境基準)への適合
COD・BOD低減有機汚濁の除去で水質基準に適合させる🔹 誰が買う?
製紙、食品、鉄鋼、化学、染色工場

🔹 どんな目的で?
排水規制(環境基準)への適合
脱色・脱臭染色工場や食品工場の排水を無害化し、近隣環境に配慮🔹 誰が買う?
食品工場、染色工場

🔹 どんな目的で?
排水規制(環境基準)への適合
作業現場の環境改善(消臭など)
(C) 設備保護・効率維持スケール防止ボイラーや冷却水系統でのカルシウム・マグネシウム沈着を防止🔹 誰が買う?
鉄鋼工場、発電所

🔹 どんな目的で?
工場の製造効率改善、設備保護
腐食防止鉄鋼や発電所の熱交換器・配管を長寿命化🔹 誰が買う?
鉄鋼工場、発電所

🔹 どんな目的で?
工場の製造効率改善、設備保護
(D) 作業性・品質改善消泡剤(シリカートン)発泡を防ぎ、製造効率・品質を向上🔹 誰が買う?
製紙、食品、化学工場、農業・水産業関係者

🔹 どんな目的で?
工場の製造効率改善
作業現場の環境改善(消泡)
スラッジ脱水タキフロックで汚泥を効率よく脱水し、処理コストを削減🔹 誰が買う?
自治体下水処理場、製紙・食品・化学工場

🔹 どんな目的で?
排水規制(環境基準)への適合
作業現場の効率改善(汚泥減量)

気になったのは、「腐食防止」の鋼鉄や発電所の熱交換器・配管を長寿命化。

↑これって、今後AI用のエネルギー需要に対して発電所が稼働していく中でもっと必要とされることだったりするのかな?

環境関連資材

環境関連資材ってなんやねんって思うのが、文系出身一般市民の私。

多木化学さんが扱っているのが、尿素液というもので、これらは私たちの生活環境の安全性や快適性を支える役割があるとのこと。

具体的には

① 安全な空気を守る
→発電所や工場の煙突から出る排ガス中の有害物質(NOₓ=窒素酸化物)を減らす
大気汚染の軽減、酸性雨や健康被害の防止

発電所の近くに住んでいても空気がきれいで、ぜんそくや呼吸器疾患のリスクが減る

② 安全な水を守る
→浄水場や下水処理場で利用され、きれいな水を供給し、処理後の排水を環境に放流できるようにする
飲み水が安心して飲めることや、川や海の水質が守られる

水道の蛇口をひねると安全な水が飲める。川や海で遊んでも水が汚くない。

護国太郎

日本の綺麗な水って、地域住民の意識の高さもあるけどこうした技術にも支えられているんだなぁと勉強になった

③ ごみ処理・生活環境を守る
→焼却場や下水処理場で発生するにおい、重金属などの有害物を抑える
→生活環境の悪臭被害や土壌・地下水汚染のリスクが軽減

ごみ処理場や下水処理場の近くに住んでいてもにおいが少なく、安心して暮らせる

私たちが今当たり前のように享受している、飲める水道水、綺麗な空気、綺麗な川とかを支えてくれている企業さんなんだなと感謝するようになりした。

機能性化学品材料

これは、産業の「機能性」を支える素材群を指しています。

これに関して、多木化学さんは次の4つを扱っていて、具体的に自分たちの実生活とどのように繋がっているのか説明します。

  1. 水溶性アルミニウム塩
  2. 微粉末ケイ酸
  3. 高純度金属酸化物
  4. 機能性ナノ材料

①水溶性アルミニウム塩

↑これもまた、「綺麗な空気」を支えてくれています。

具体的には自動車のマフラーの部品であるセラミック(通常は粉)の成形材料として使われています。世界的にEVの流れに疑問視する意見も強くなってきたかなと思うので、需要が増えればますます売り上げが上がりますね。

セラミックの成形使われる物質で、さらに「熱に強い」特徴があるので、スマホとかパソコンで熱を持つ部分の基盤にも強みを発揮します。

レンガやコンクリートの耐火性を上げることもできるので、ビル火災やトンネル火災の際にも長時間崩れない、人命救助の助けにもなる。

②微粉末ケイ酸

↑ゴム・紙・プラスチックを作るときに混ぜると強度が増す。また、研磨剤や匂いの吸着剤としても働く。

研磨剤や吸着剤は、歯磨き粉や洗顔料としてイメージができます。

ゴム、紙、プラスチックの強度を高める。

③高純度金属酸化物

↓特徴

高い誘電率
→ 電気をためやすく、コンデンサ(電気の一時的な蓄電器)に最適。

高い屈折率・透明性
→ レンズや光学フィルムにコーティングすると、反射防止や光学性能が向上。

高温・高耐久性
→ 安定性が高く、半導体プロセスなど過酷な条件でも性能を維持。

薄膜形成に適している
→ 原子レベルで均一な膜を作れるので、電子部品や光学素子に利用できる。

便利で快適なデジタル社会を支えてくれる素材といえます。

・スマホに使われる蓄電器の性能アップ
→小型化や長持ちバッテリーに貢献。

・自動車の電子制御ユニットやモーターの制御基盤にも使われる
自動車産業の景気と連動する形かな。

・レンズやフィルムにコーティングすると反射防止や光学性能の向上
半導体の製造が増えれば、需要が拡大?

・高精度で安全な医療機器
→高い屈折率は、胃カメラとかで高精細に観察を可能にする。
→光学性能アップ=レーザーによるがん治療やレーシックで活躍

半導体、自動車(マフラー、制御装置、タイヤ)、医療と、幅広い分野で活躍する素材

多木化学の不動産事業

売上高に対して、高い利益率を生み出している多木化学さんの不動産事業。

連結子会社の別府鉄道株式会社も商業ビルなどの不動産を賃貸している。

従業員が5人しかいないのに、会社の利益の21%を生み出している事業ですごい。

ただし、ショッピングセンターメインの不動産のようで、有価証券報告書でも

電子商取引が台頭する中、実店舗販売を取り巻く環境は厳しさを増しております

と述べています。

今後、どのように事業を進展させていくのか、見ていきたいですね。

多木化学の原料の仕入れ(サプライチェーン)事情

多木化学の製品を製造するための原料、この部分のサプライチェーンを把握したいと思いました。

有価証券報告書に書かれていることを抜粋します。

生産・販売にあたって購入する石油・ガスの価格は、中東情勢や世界経済の変動の影響を受 け、急激な価格変動を起こすことがあります

主要原料の多くが輸入品であるため、為替レートの変動の影響を受ける場合がありま す。

原料、資材、燃料等は、海外の需給バランスの影響を受けるものが多くあり、当該リスクへの対応策として、国内外の複数の取引先からの購入を行い、当社工場や国内の外部倉庫等に需要に応じた 一定量の在庫を維持するなど、原材料価格の変動リスクを低減するための調整、及び原材料の安定調達に努めて おります。

水処理薬剤など、上記以外の業界向 け製品についても、競争力の高い代替製品の出現

ということで、海外情勢の影響を受けやすいビジネスなのだなと思いました。

だからこそ、逆に技術力の高い製品を製造し、海外市場にとっても「なくてはならない」というポジションニングができるようになれたら強いのかなと思います。

有価証券報告書を読んでいて気になったのが、「iPS細胞との親和性を持ったコラーゲン材料」で、ミニ心臓として大阪万博で展示されているとのこと。

魚の鱗由来とのことなので、島国の日本においては原料調達という観点からはリスクが低い製品になれるのかなと。

とはいえ、このコラーゲン材料は他国でも作られているみたいなので、競争力としてどうなのかという点、そして製造するにあたり電力が必要だと思うので、個人的には本当に再生可能エネルギー推しをおわらせるべきだと思う。

多木化学は売り上げの9割が国内

現在、多木化学さんの売上構成において9割が国内です。

人口減少が進む日本において、売上を国内に依存していては先細ってしまうため、海外進出を拡大していく計画が発表されています。

アグリ事業では、肥料生産・栽培ノウハウを活かした海外市場への参入。

化学品事業では水処理薬剤をもっと海外市場に浸透させていく計画のようです。

すでに求人サイトでは、「海外販売」を担当している先輩インタビューもありますし、有価証券報告書には「水処理事業の海外進出で協力するため」との理由で非上場企業の株式保有数を増加させています。

多木化学の中長期ビジョン

多木化学さんのサイトで、中長期のビジョンを確認したところ、各事業においてこのような目標を掲げていました。

アグリ事業の長期ビジョン

1. 国内市場の趨勢、カーボンニュートラルを考慮した生産体制の合理化、および肥料生産・栽培ノウハウを生かした海外市場への参入

2. 農産物生産事業への進出と高付加価値作物のブランディング、新たな販売ソリューションの創出

海外市場とは、どのエリアに行くのか個人的に興味があります。

食料安全保障の観点から言えば、地理的に近い東南アジアかオセアニア。ただオセアニアは人件費が高い。

農産物生産事業への進出も面白いですね。

農家の減少と耕作放棄地の増加がある中、異業種からの農業参入も進んできているので、自分たちの肥料を使い、自分たちの栽培ノウハウを用いて農産物を生産し販売までを一気通貫で行うことができたら、面白い。

運輸事業もやられているようなので、自社生産・自社販売・自社便で届けると言った事も可能なのかなと。

輸出ノウハウもその頃にはあるだろうから、食品の輸出へのハードルも高くないと想定。

上の一気通貫モデルが成功したら、生産・販売・運送などの他社に対するソリューション事業にも展開できそうです。

化学品事業の長期ビジョン

1. 環境配慮型の水処理薬剤の浸透と海外市場への参入

2. 成⾧マトリクスの展開による機能性材料の事業拡大

こちらもアグリ事業と同じく海外市場に参入を計画。

有価証券報告書でも書かれていましたが、「コピー品」や「類似品」なども存在し得るので、そことどう戦っていけるかかなと。

今後の営業力とリピート販売率がカギを握っていそう。

不動産事業の長期ビジョン

1. 自社開発エリアの再開発によるコンパクトシティ化

2. 関連事業への進出による新たな収益機会と雇用機会の創出

関連事業への進出というのが、リノベーションやフランチャイズ事業と記載がありました。

多木化学さんの化学品事業は「快適な暮らし」を支えてくれている部分なので、不動産と何かしらシナジー効果があるかもです。

また、最近はショッピングセンターの屋上などで、「貸し農園」というビジネスモデルもあります。

多木化学さんの肥料や栽培ノウハウを提供する形でショッピングセンターに集客することもできそうですし、コンパクトシティ化ということは、そのエリアで農園を提供して近隣住民への家庭菜園的な形で持っていけるかもしれないですね。

まとめ

多木化学(4025)は肥料・化学品・不動産の3事業を展開し、食料安全保障の観点から私は注目している企業。

売上は化学品が約5割、アグリ事業が3割を占め、不動産は高収益源。

国の政策は化学肥料削減に向かう中、有機肥料やバイオスティミュラントの拡大が期待されます。

政府や野党が有機推進や米増産を掲げる中、水稲用肥料も展開。

化学品事業では水処理薬剤や機能性材料を扱い、環境・半導体・医療分野に貢献。

不動産事業は高利益率を誇り、再開発や農園併設の可能性もあります。

課題は輸入原料依存と国内売上比率の高さで、海外市場進出が鍵。

以上、投資は自己責任と自己判断で。

護国太郎
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